【Mead ミード】

世界の酒物語 Vol.2

【Mead ミード】

ビールやワインの歴史を辿るとメソポタミア文明期にたどり着きますが、それよりも遥か昔、1万4千年ほど前、旧石器時代にあたる頃に誕生したとされる“人類最古のお酒”と言われるお酒、それが「ミードMead」です。

ミードは蜂蜜からつくられたお酒。蜂蜜に酵母を加えてつくられます。
ビールやワインは農作物ですが、ハチミツは自然界の生き物ですよね。
ゆえに、農耕文化がはじまる有史以前に自然界の生き物を利用してつくったお酒なので“人類最古” なのです。

アルコール発酵に必要なのは「糖分と酵母」です。この時点で蜂蜜には糖分を有しています。
ただ、蜂蜜の濃い濃度ではアルコール発酵は起こりません。
何らかの偶然でハチの巣に雨水が溜まった、この薄まった状態の蜂蜜に自然界の野生酵母が入り込み偶然にアルコール発酵を促した、それを先人たちが飲んだ、と推測されています。

そこで人類ははじめて「酔う」という摩訶不思議な体験をします。
非日常的で心地よい不思議な感じを体験し、これは神様からの何かのお告げではないか、そういったことから、古代ギリシャでは神のお酒として崇められていたようです。 現在の主な市場は欧州やロシアあたりですが、古くは古代ケルト・アイルランド人らも愛飲していたとも言われています。

現代では、蜂蜜にささまざまな効能や栄養があると証明されています。
医学博士として100歳を超えて活躍された日野原重明先生も毎日スプーン1杯の蜂蜜を摂られていたようですが、古代から中世のヨーロッパにおいて新婚の新婦は住居にこもって1ヶ月間、蜂蜜酒をつくって&飲んで過ごす「ハネムーンHoneymoon(蜜の月)」がありました。
これは強壮作用がある蜂蜜でつくったお酒を飲み、子作りに励むことと、蜂の多産にあやかる為ではないかとされています。

エリザベス女王1世は、当時貴重であったミードにさまざまなハーブや薬草を調合した「メセグリンMetheglin」というお酒を愛飲していました。
このハーブとアルコールの効果で身体が温まり熟睡でき体力回復できることから「薬(メディスン)」の語源になったとも伝えられています。

古くからあるミードには、このようにたくさんの伝説があるのも楽しいですね!
“人類最古のお酒”と言われる蜂蜜酒「ミード」をぜひ試してみては?!
そのままはもちろん、ロックや炭酸割りにしたり、ワインにいれたりと楽しみ方もたくさんある楽しいお酒です!
※写真のミードはドイツ産なので「MET」と表記されています。
※英語: mead、フランス語: hydromel、ドイツ語: Met、ポーランド語: miód、スウェーデン語: mjöd、リトアニア語: midus